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望遠鏡の選び方【今知っておきたい科学 その1】

 

 ちょうど1か月ほど前,天体に関する講演会みたいなものに講師として参加させていただきました.2時間ぐらいの会でしたが,前半1時間は他の先生が星座についてお話をされ,その後,望遠鏡の選び方について説明をさせていただきました.

 具体的には,倍率だけで望遠鏡を選ぶのではなく,見える視野の広さ,集光力にも注意してほしいといった内容です.

 最近は,アマゾンをはじめ,ヤフーオークション,メルカリなど,安く望遠鏡を購入できる機会が増加しております.その一方で,購入した望遠鏡で上手に天体を見ることができず,1,2回で倉庫の奥に眠らせてしまうといったことも少なくないようです.

 どうしてそのような悲しい結果になってしまうのか? おそらくですが,ほとんどのケースにおいて,倍率と値段だけで選んでしまっているからです.

 例えば下の2つの写真を見比べてみましょう.

狭い範囲しか見えない
狭い範囲しか見えない

広い範囲で見える
広い範囲が見える

同じ北極星周りの写真ですが,一方が見える範囲が狭く,一方が広いのがわかります.これが視野の広さです.

 さらに下の2つの写真を見比べてみましょう.

暗い星が見えない
星が見えない

暗い星も見える
たくさん星が見える

ともに同じ星空の写真ですが,見えている星の数が違うのがわかるでしょうか.これが望遠鏡の集光力,つまり弱い光でも見ることができるかどうかです.

 このように同じ倍率であっても,見える視野の広さや,集光力の違いによって,同じ天体を見ていても感動の幅が違います.

 ではどのような望遠鏡を選べばいいのでしょうか? 初めて望遠鏡の購入を考えている方なら,ビクセンというメーカーの望遠鏡を購入すれば,間違いありません.ただ値段は1万円強ぐらいと少し高めではあります.それでも,安物をつかまされてがっかりするよりは,しっかりとした望遠鏡を購入することをお勧めします.

 日に日に寒くなってきていますが,冬は明るい星も多く天体観測に向いている時期でもあります.今回のことを機会にしっかりとした望遠鏡の購入を検討されてみてはいかがでしょうか.

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