「プログラミングだけじゃないの?STEAM教育って、結局うちの子に何がいいの?」
「理科が苦手な親でも、家で何かできることはある?」
お子さまの習い事を検討するとき、こうした疑問や迷いを持つ保護者の方は多いのではないでしょうか。
STEAM教育は、近年の教育現場で注目が高まっている学び方のひとつです。
この記事では、浜松市で理科実験教室を運営するサイエンスデイズが、STEAM教育の基本的な考え方と、ご家庭で意識できるポイントを整理してお伝えします。
「うちの子に合うかどうか」を判断するための材料として、お役立ていただければ幸いです。
STEAM教育とは?5つの要素をわかりやすく整理
STEAM教育とは、以下の5つの領域を教科の枠を超えて横断的に学ぶ教育手法です。
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Art(芸術・教養)
- Mathematics(数学)
これまでの学校教育では「算数の時間は計算」「理科の時間は実験」と分かれていました。
しかし、現実社会の課題解決には、教科の壁はありません。理科や数学の知識を使い、技術と工学で形にし、芸術的センスで表現する。これらを統合して学ぶのがSTEAM教育の考え方です。
それぞれの要素について、理科実験教室の現場から見た視点も交えてご紹介します。
S:Science(科学)─ 「なぜ?」から始まる探究の出発点
「なぜ空は青いの?」「どうして氷は水に浮くの?」
日常の「なぜ?」に気づき、仮説を立てて検証する姿勢のことです。
私たちの教室では、「予想→実験→結果の比較」という流れを大切にしています。予想が外れたときに「なんで?」と考え始める子どもの姿を、たくさん見てきました。
正解を教わるのではなく、自分で確かめる。この体験が、科学的な考え方の土台になります。
T:Technology(技術)─ 道具を「目的のために」使いこなす力
Technologyというと「プログラミング」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし本来、Technologyとは「目的を達成するために道具を使いこなす力」です。顕微鏡、ハサミ、定規、そしてインターネット。これらを「何のために、どう使うか」を考える力が含まれます。
教室では、実験道具の使い方を「教える」のではなく、「どう使えばうまくいくか」を子どもたち自身に考えてもらう場面を大切にしています。
E:Engineering(工学・ものづくり)─ 頭で考えたことを手で形にする
科学や数学の知識を応用し、実際にモノや仕組みを作り出すことです。
頭で理解したことを手で形にする。うまくいかなければ、また考えて作り直す。この「作る→試す→直す」のサイクルが、ものづくりの基本です。
「わかった」と「できた」は違います。手を動かして初めて見えてくることが、たくさんあります。
A:Art(芸術・リベラルアーツ)─ 正解のない問いに、自分なりの答えを出す
Artは単なる「芸術」や「お絵描き」ではありません。
「正解がひとつではない問いに対して、自分なりの答えを考え、表現する力」のことです。倫理観や教養(リベラルアーツ)も含まれます。
「正しく動く」だけでなく「使いやすい」「美しい」と感じられるものを作る。「この技術をどう使うべきか」を考える。こうした判断は、計算やルールだけでは導けません。
これからの時代、この「A」の重要性はますます高まっていると感じています。
M:Mathematics(数学)─ 感覚ではなく、数字で確かめる習慣
データを読み解き、論理的に考える力です。
「だいたいこれくらい」ではなく「計算するとこうなる」。感覚に頼らず、数字で確認する習慣は、将来さまざまな場面で判断の土台になります。
実験でも「なんとなく成功した」で終わらせず、「何センチだったか」「何秒かかったか」を記録することで、次の改善につながります。
STEM教育との違い―「A」が加わった背景
「STEM教育と何が違うの?」という質問をよくいただきます。
STEM教育は、科学技術分野の人材育成を目的にアメリカで生まれた概念です。もともと「A(Art)」は含まれていませんでした。
しかし近年、計算や効率化はコンピュータが得意とする領域になりつつあります。
たとえば、検索すれば1秒で答えが出てくる時代です。だからこそ、「何を調べるか(問いを立てる力)」「出てきた答えをどう使うか(判断する力)」という、人間中心の視点が注目されるようになりました。
STEM(理数系能力)にArt(創造・表現・判断)が加わることで、「技術をどう使うか」「何のために作るか」という問いにも向き合えるようになる。これがSTEAM教育の考え方です。
つまり、STEAM教育は「理系を強化する教育」ではありません。理系と文系、論理と感性を組み合わせて考える習慣を育てようという発想です。
STEAM教育で育つとされる5つの力
STEAM教育では、テストの点数のような「認知能力」だけでなく、数値化しにくい「非認知能力」も育つと言われています。
これからの学びや社会生活で役立つ場面が増えている力を、整理してみましょう。
1. 論理的思考力 ─ 情報を整理し、自分で判断する土台
原因と結果をつなぎ、筋道を立てて考える力です。
「なぜこうなったのか」「次はどうすればいいか」を順序立てて考える習慣が身につくと言われています。
情報があふれる時代に、「なんとなく」ではなく根拠を持って判断できる力は、さまざまな場面で役立ちます。
2. 問題解決能力 ─ うまくいかない状況を、前に進める力
うまくいかないとき、「もうダメだ」ではなく「じゃあ次はこうしてみよう」と考える力です。
失敗を恐れず、改善策を考えて壁を乗り越える経験を積むことで育まれます。
勉強でも仕事でも、「困った状況」は必ず訪れます。そのとき立ち止まらずに動ける力は、一生の財産になります。
3. 創造力・発想力 ─ 「正解がない問い」に向き合う力
「こうしなければならない」という固定観念から離れて、自分なりのアイデアを出す力です。
正解がひとつではない課題に取り組む中で、少しずつ育っていきます。
「言われたことをやる」だけでなく、「自分で考えて提案できる」人は、どんな場所でも重宝されます。
4. 協働力 ─ 違う意見を活かして、一緒に作り上げる力
自分の考えを伝え、相手の考えを聞き、一緒により良いものを作り上げる力です。
グループでのプロジェクト活動を通じて経験を積みます。
「自分と違う意見」を敵ではなくヒントとして受け止められると、チームでの成果は大きく変わります。
5. 主体性 ─ 「やらされる」から「やりたい」への変化
「やらされる勉強」ではなく、「自分から知りたい」と思う姿勢です。
興味を持ったことに自分から取り組む経験が、この姿勢を育てると考えられています。
この内発的な動機があると、学びは「苦痛」ではなく「楽しみ」に変わります。
浜松の理科実験教室での実践例:橋を作るプロジェクト
私たちサイエンスデイズの教室では、「重さに耐えられる橋を作ろう」というプロジェクトに取り組んでいます。
まず、子どもたちは「どんな形が強いか?」を予想します。三角形のトラス構造が強いと知った後、必要な材料の長さを計算し、実際にストローや割り箸で組み立てます。
失敗から学ぶプロセス ─ 壊れた瞬間が、一番の学び
最初の橋は、たいてい壊れます。
でも、「なぜ壊れたのか?」を考える時間が、このプロジェクトで一番大切な部分だと私たちは考えています。
「ここの接着が弱かった」「三角形の数が足りなかった」「重さのかかる場所を間違えた」。子どもたちは自分で原因を見つけ、次の設計に活かしていきます。
子どもたちの変化 ─ 「きれい」から「強い」への気づき
印象的だったエピソードがあります。
最初は「きれいな色のストローを使いたい!」と言っていた子が、何度か橋が壊れるうちに、「この色より、この組み方の方が強いんだ」と自分で気づく瞬間がありました。
見た目より構造。その判断を、誰かに教わるのではなく自分で発見する。
この体験が、子どもたちの「自分で考えた」という自信につながると感じています。
このプロジェクトで育つ力
このプロジェクトには、STEAMの要素が自然に含まれています。
- 仮説を立てて検証する(Science)
- 数値で考える(Mathematics)
- 手を動かして作る(Engineering)
- 見た目や使いやすさを考える(Art)
- 道具や手順を管理する(Technology)
教科書で「トラス構造は強い」と読むだけでは、なかなか実感がわきません。自分の手で作り、壊れ、直す。この体験が、知識を「自分のもの」にしやすくすると感じています。
家庭でできるSTEAM教育のヒント
「教室に通わないとダメですか?」と聞かれることがありますが、ご家庭でもSTEAM的な体験はできます。
特別な教材は必要ありません。日常の中に「なぜ?」「どうしたらいい?」を見つけることが、第一歩です。
毎日完璧にやる必要はありません。週に一度、15分だけでも、お子さまの「なぜ?」に気づく機会は増えます。
料理を一緒にする ─ 台所は小さな実験室
料理には、STEAM的な要素がたくさん含まれています。
「卵を3つ割って」と頼めば、それは数の感覚(Mathematics)。「卵を加熱するとなぜ固まるの?」と問いかければ、科学的な興味(Science)。「どう盛り付けたらおいしそうに見える?」と聞けば、表現(Art)。
レシピ通りに作るだけでなく、「もう少し甘くしたいときはどうする?」「この材料がないとき、代わりに何が使える?」と問いかけてみると、子どもなりの工夫が生まれることがあります。
ブロック遊びを深める ─ 問いかけひとつで学びが変わる
レゴやブロック遊びも、STEAM的な体験につながります。
自由に形を作る中で、構造やバランス感覚を自然と学んでいます。ここにちょっとした問いかけを加えるだけで、考える機会が増えます。
「この塔、どうしたらもっと高くできる?」「倒れにくくするにはどうすればいい?」
正解を教えるのではなく、一緒に考えてみる。そんな時間が、ひとつのヒントになるかもしれません。
「なぜ?」を大切にする ─ 答えより、問いを育てる
お子さまの「なぜ?」「どうして?」という疑問に対し、すぐに答えを教えず「どうしてだと思う?」と返してみてください。
「空はなぜ青いの?」と聞かれたとき、「〇〇ちゃんはどう思う?」と聞いてみる。子どもなりの仮説が出てきたら、「じゃあ調べてみようか」と一緒に探ってみる。
この「問い→仮説→調べる」の流れが、STEAM教育の基本的な考え方と重なります。
STEAM教育を検討するときの注意点
STEAM教育に興味を持った保護者の方から、教室でいただく相談をもとに、知っておいていただきたい点をまとめました。
結果が見えるまで時間がかかる
STEAM教育で育つとされる力は、テストの点数のようにすぐ数値化できるものではありません。
「〇〇ができるようになった」という成果を焦るより、「楽しそうに取り組んでいるか」「自分から『やりたい』と言っているか」を見ていただく方が良いかもしれません。
教えすぎると逆効果になることも
つい「こうした方がいいよ」「それは違うよ」と言いたくなりますが、ぐっとこらえた方が良い場面もあります。
子どもが自分で考え、試し、失敗し、また考える。このプロセス自体が学びです。大人が先に正解を教えてしまうと、このプロセスが省略されてしまいます。
失敗を責めない
「壊れちゃった」「うまくいかなかった」は、STEAM的な学びにおいてはむしろ歓迎すべき場面です。
「どうして失敗したと思う?」「次はどうしてみる?」と前向きな問いかけに変えてあげると、失敗が学びにつながりやすくなります。
【判断基準】STEAM教育が向いている子・そうでない子
「うちの子に合うかどうか」を考えるための、ひとつの目安をご紹介します。
こんなお子さまには向いているかもしれません
- 「なぜ?」「どうして?」と質問することが多い
- 工作やものづくりが好き
- うまくいかなくても、もう一度やってみようとする
- 自分で考えて決めることが好き
一方、こんなタイプのお子さまは…
- 決まった手順に沿って進める方が安心する
- 「正解」がはっきりしている課題の方がやる気が出る
- 今は別の分野(スポーツ、音楽など)に強い興味がある
こうした傾向があるお子さまが「STEAM教育に向いていない」というわけではありません。
実は、教室では「失敗しても大丈夫なんだ」という安心感を得たことで、少しずつ挑戦できるようになるケースも見てきました。「決まった手順が好き」だった子が、自由な発想を楽しめるようになることもあります。
どちらが良い・悪いではなく、お子さまの今の状態に合った選択をするのが大切です。
迷われている場合は、一度体験してみて、お子さまの反応を見てから判断されるのも良い方法だと思います。
よくある質問
STEAM教育は何歳から始められますか?
明確な「適齢期」はありません。幼児期からでも、遊びの中でSTEAM的な体験はできます。
ブロック遊び、砂場での造形、料理の手伝い。これらもSTEAM教育につながる体験です。
私たちの教室では、園児クラスから受け入れています。この時期は「理科って楽しい」という感覚を育てることを大切にしています。
プログラミング教室とSTEAM教室の違いは?
プログラミング教室は、STEAMの「T(Technology)」に特化した教室と言えます。
STEAM教室は、プログラミングだけでなく、理科実験やものづくり、アートなど、より幅広い領域を扱います。
どちらが良いかはお子さまの興味次第です。「論理的思考力を伸ばしたい」ならプログラミング教室、「いろんなことに興味を持ってほしい」ならSTEAM教室が合うかもしれません。
理科が苦手な親でも家庭でできますか?
できます。むしろ、保護者の方が「わからない」ことは、一緒に学ぶチャンスです。
「お母さんもわからないな、一緒に調べてみよう」という姿勢は、お子さまにとって良いお手本になります。
完璧に教える必要はありません。一緒に「なぜ?」を楽しむ気持ちがあれば十分です。
浜松市でSTEAM教育を体験できる場所
浜松市内でSTEAM教育に触れられる場所として、私たちサイエンスデイズでは理科実験を中心とした授業を行っています。
対象は園児から小学生まで。「なぜ?」「どうして?」という疑問を大切にしながら、実験やものづくりを通じて学ぶスタイルです。
「うちの子に合うかどうか試してみたい」という方のために、体験教室もご用意しています。
浜松の保護者の方へ
浜松は「ものづくりの街」です。
私たちの周りには、世界に誇る技術や工学があふれています。バイク、楽器、光技術。この街で育つお子さまたちは、「作る人」の背中を身近に見ながら大きくなります。
そんな環境だからこそ、教科書の知識だけでなく、自ら問い、作り、試す楽しさを知ってほしい。
それが、私たちがこの街で理科実験教室を続けている理由です。
まとめ:選択肢のひとつとして
STEAM教育は、理系科目を強化するためだけのものではありません。
教科の枠を超えて考える習慣、正解がひとつではない課題に取り組む経験。こうした学びを大切にしているのがSTEAM教育の考え方です。
ただ、すべてのお子さまに合うわけではありませんし、他の習い事や教育方法にもそれぞれの良さがあります。
この記事が、「うちの子に何が合うか」を考えるひとつの材料になれば幸いです。
LINEをお使いでない方はお問い合わせページからもお申し込みいただけます。
サイエンスデイズでは、浜松市で理科実験教室を運営しています。
「一度見てみたい」という方は、お気軽に体験教室へお越しください。
子ども理科実験教室|サイエンスデイズ
子どもの習い事として理科実験教室をご検討をしてみてはいかがでしょうか? 私たちの教室では理科実験を通して、子どもの知的好奇心を養うことはもちろん、実験結果や考察のまとめを繰り返すことで自分の考えを他の人に伝える能力も向上させます!
1・2・3年生の理科実験
1・2・3年生では「科学の力でアイスキャンディ作り」「佐鳴湖の生き物観察」などの楽しい実験を通して、理科好きな心を刺激し、感性を豊かにします。加えて、実験結果をしっかりとまとめることで作文力向上も目指します!