「うちの子、最近『理科がきらい』と言うようになりました」
「まだ小学3年生なのに、もう手遅れなんでしょうか」
お子さまの理科への苦手意識について、こうしたご相談をいただくことがあります。
理科嫌いについては「小3で決まる」「実験をさせれば好きになる」といった話をよく耳にします。ただ、実際に子どもたちと接していると、つまずくポイントは年齢によってかなり違います。同じ「理科がきらい」という言葉でも、幼児期と中学生では、その中身が別のものです。
この記事では、幼児期から中学生までを5つの時期に分け、それぞれで起きやすいことと、家庭でできる関わり方を整理します。個別のテーマについては、それぞれ詳しい記事へご案内します。
まずは「今のお子さまがどの時期にいるのか」という地図を持ち帰っていただければ幸いです。
理科嫌いは、ある日突然始まるわけではない
「どうして急に理科をきらいになったんだろう?」
結論から言えば、理科嫌いは特定の学年で突然生まれるものではありません。年齢ごとに違う種類のつまずきがあり、それが解消されないまま次の段階へ進むことで、少しずつ「苦手」という形になっていきます。
だからこそ、対策も年齢によって変わります。幼児期に有効な関わり方が、中学生にそのまま通用するわけではありません。「実験をさせれば好きになる」という話が、うまくいく場合とそうでない場合に分かれるのも、ここが理由です。
もう一つ知っておいていただきたいのは、理科嫌いの多くがお子さまの能力ではなく、環境と仕組みの側に原因があるということです。暗記中心の評価、目に見えない概念、体験の不足。どれも本人の努力不足とは別のところにあります。
原因そのものを詳しく知りたい方は、小学生がつまずく「3つの壁」を整理した記事をご覧ください。この記事では原因の詳細には立ち入らず、年齢ごとの見取り図に絞ってお伝えします。
理科が嫌いになる理由とは?小学生がつまずく「3つの壁」と家庭でできる対策
理科嫌いの原因は能力ではなく「体験と知識の順序」にあります。小学生がつまずく小3・小5・中学の3つの壁と、家庭でできる対策を浜松市の理科実験教室が解説します。
年齢別に見る、つまずきと関わり方
ここからは5つの時期に分けて見ていきます。一つひとつを深く掘り下げるより、「どの時期に何が起きやすいか」の全体像をつかむことを目的にしています。
まず、時期ごとの要点を一覧にまとめました。
| 時期 | 起きやすいこと | 家庭で意識したいこと |
|---|---|---|
| 幼児期(3〜5歳) | 「なんで?」があふれる | 答えを急がず、一緒に考える |
| 低学年(小1〜2) | 生活科で体験が中心になる | 体験を言葉にする時間をつくる |
| 中学年(小3〜4) | 理科が教科になり、評価が入る | 点数より「どう考えたか」を聞く |
| 高学年(小5〜6) | 目に見えないものを扱い始める | 見えないものを見える形に置き換える |
| 中学生 | 「理科は苦手」が自己認識として固まる | 苦手の中身を分解する |
以下で1つずつ見ていきます。
幼児期(3〜5歳)── 「なんで?」があふれる時期
この時期の子どもは、身のまわりのあらゆることに疑問を持ちます。「空はどうして青いの」「氷はどうして冷たいの」。答えにくい質問が続き、正直なところ、毎回きちんと答えるのは大変です。
ここでのつまずきは、理科そのものではなく「聞いても仕方がない」と学習してしまうことにあります。忙しいときに「あとでね」が続くと、子どもは質問すること自体をやめていきます。
大切なのは、正しい答えを返すことではありません。「どうしてだと思う?」と聞き返し、一緒に分からないまま考える時間を持つことです。答えを知らない大人の姿を見せることは、この時期にはむしろ有効です。
家庭での具体的な関わり方については、後半で改めてご案内します。
低学年(小1〜2)── 体験が中心の時期
小学校低学年では、理科という教科はまだ始まりません。生活科のなかで、育てる・観察する・作るといった体験が中心になります。
この時期は理科嫌いが表面化しにくい一方で、体験が体験のままで終わってしまうことがあります。楽しかった記憶は残っても、「何がどうなったのか」が言葉にならないままだと、後の学習につながりにくくなります。
家庭でできるのは、体験のあとに少しだけ言葉にする時間をつくることです。「どうなった?」「どこが不思議だった?」と聞いてみる。うまく説明できなくても構いません。言葉にしようとする経験そのものが、次の段階の土台になります。
中学年(小3〜4)── 理科が教科として始まる時期
小学3年生から、理科が正式な教科になります。ここで初めて、理科に点数がつきます。
理科嫌いが目立ち始めるのはこの時期です。それまで「不思議で面白いもの」だったことが、「合っているか間違っているか」で評価される対象に変わるためです。好奇心と評価が、初めて同じ場所に置かれるタイミングとも言えます。
家庭で意識したいのは、点数の話から少し離れることです。テストが返ってきたとき「何点だった?」ではなく「どう考えてその答えにしたの?」と聞いてみる。考えた過程そのものに関心を向けられると、点数だけで自己評価が決まりにくくなります。
この時期の関わり方については、声かけの具体例を含めて別の記事で詳しく扱っています。
理科嫌いは小3で決まる?好奇心を潰さない3つの声かけ
小学3年生で理科嫌いが増えるのは、テストの評価が好奇心を閉じてしまうからです。原因は能力ではなく環境。特別な教材がなくても、日常の声かけで子どもの「なぜ?」は守れます。実験教室10年以上の現場経験から、家庭でできる3つのヒントを紹介します。
高学年(小5〜6)── 見えないものを扱い始める時期
高学年になると、電流、空気の性質、ものの溶け方など、目で直接見えないものを扱う内容が増えます。
ここでのつまずきは、想像がつかないものを言葉と図だけで理解しなければならない点にあります。「分かったふり」で通り過ぎてしまうと、中学以降の内容が積み上がりません。
家庭では、見えないものを見える形に置き換える工夫が役立ちます。水の流れにたとえる、実際に触れられるものに置き換えて考える。厳密さより、まず手がかりを持てることが大切です。
なお、この時期に「科学者になりたい」と言い出すお子さまもいます。その場合の関わり方については、子どもが科学者になりたいと言ったら、親にできる3つのサポートで整理しています。
中学生 ── 「苦手」が固まる前の時期
中学生になると、理科は物理・化学・生物・地学の分野に分かれ、計算も増えます。ここで「理科は苦手」という自己認識が定着しやすくなります。
ただし、苦手の中身は分野によってかなり違います。計算でつまずいているのか、用語が覚えられないのか、実験の意味が分からないのか。「理科が苦手」とひとまとめにせず、どこでつまずいているのかを分解することが、この時期の出発点です。
分解してみると、実は理科そのものではなく計算や読解の問題だった、ということも珍しくありません。原因が特定できれば、対処のしかたも変わります。
家庭で抱え込まなくてよい
家庭でできることは確かにあります。ただ、家庭だけでは作りにくい経験もあります。両方を分けて考えると、無理なく続けられます。
「親が理科を苦手でも、なんとかなるものでしょうか?」
保護者の方が理科に詳しい必要はありません。むしろ、一緒に分からないまま考えてくれる大人の存在のほうが、この時期の子どもには意味を持ちます。
家庭でできるのは、日々の会話のなかで「考える時間」を確保することです。答えを教える前に一拍おく、体験を言葉にする時間をつくる、点数以外のことを聞く。この記事で挙げてきたことは、どれも特別な教材を必要としません。
一方で、家庭だけでは作りにくい経験もあります。本物の道具に触れる機会、同年代の子と一緒に試行錯誤する場、失敗しても大丈夫だと思える環境。こうしたものは、習い事が一つの選択肢になります。
ここで大切なのは、「理科嫌いを直すために通わせる」と考えないことです。教室に通えば必ず理科を好きになる、というものではありません。お子さまの性格や現在の状態によって、向き不向きもあります。判断の材料として、理科実験教室に向いている子・向いていない子の特徴もあわせてご覧ください。
よくある質問
放っておけば、そのうち好きになりますか?
時期によります。幼児期や低学年の「なんとなく苦手」は、体験の機会が増えることで変わることもあります。
一方、中学年以降で評価と結びついた苦手意識は、そのままにしておくと固まりやすくなります。無理に好きにさせようとする必要はありませんが、どこでつまずいているのかを一度確認しておくことをおすすめします。
親が文系で、理科を教えられません
教える必要はありません。この記事で挙げた関わり方は、どれも理科の知識を前提としていません。
「どうしてだと思う?」と聞き返す、体験を言葉にする時間をつくる、点数以外を尋ねる。いずれも保護者の方の得意・不得意とは関係なく実践できます。
対策を始めるのに、遅すぎる時期はありますか?
ありません。ただし、時期によって有効な関わり方は変わります。
中学生に対して幼児期と同じ声かけをしても、うまくいかないことが多いはずです。この記事の年齢別の整理を、今のお子さまに合った関わり方を選ぶ手がかりにしていただければと思います。
まとめ:年齢ごとに、関わり方は変えていい
理科嫌いは、ある学年で決まってしまうものではありません。年齢ごとに違うつまずきがあり、それぞれに合った関わり方があります。
幼児期は問いを止めないこと。低学年は体験を言葉にすること。中学年は点数から少し離れること。高学年は見えないものを見える形にすること。中学生は苦手の中身を分解すること。
すべてを一度にやろうとしなくて構いません。今のお子さまの時期に合ったところから始めていただければ十分です。
サイエンスデイズは、浜松市中央区で園児から中学生を対象とした理科実験教室です。答えをすぐに教えるのではなく、自分で考え、確かめる時間を大切にした授業を行っています。
次に読むなら ─ お子さまの状況に近いテーマからお読みください。
・なぜ理科嫌いが生まれるのかを知りたい → 〔理科が嫌いになる理由とは?〕
・小学3年生前後の関わり方を知りたい → 〔理科嫌いは小3で決まる?〕
・家庭での具体的な習慣を知りたい → 〔「なんで?」が止まらない子に育てる〕
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“なんで?”が止まらない子に育てる、家庭でできる3つの習慣
子どもの「なんで?」にどう答えていますか?理科実験教室の現場から、家庭で今日から始められる3つの習慣をご紹介。完璧な答えは不要、日常のキッチンや散歩が学びの場に変わる関わり方をお伝えします。