自然現象の解説

セルシウス・ケルビン・ファーレンハイト温度

いろんな温度表記

温度を表す単位には℃で表す以外にも、いくつか表記の方法があることをみなさんはご存じですか?

「はて温度にいくつも単位があるなんてほんとかしら?」
と思ったかたもいるでしょう。

例えば、長さの単位にメートルとヤードがあることを考えれば、温度表記にもいくつか種類があることもなんとなく納得できそうです。

さてその温度の単位ですが大きく分けて

  • ファーレンハイト温度(1714年ごろ
  • セルシウス温度(1742年ごろ
  • ケルビン温度(1848年ごろ

3つがあります。ここからは、それぞれの温度特徴について説明をしていきます。

1.ファーレンハイト温度・華氏温度

その昔、温度の測定方法があいまいだった時代に、1714年ダニエル・ファーレンハイトが以下のような温度を提案しました。

水の凝固点を温度を32℉・沸点を212℉・その間を180等分する

なお「℉」は提案者であるファーレンハイトの頭文字からきていて、この温度定義に従って表示する温度のことを「ファーレンハイト温度」といいます。

さて、水の凝固点を32℉・沸点を212℉となぜこんな半端な感じになってしまったのでしょうか。

理由のひとつに、できるだけマイナス表記の温度を出したくない当時の思惑がありました。

氷を基準点にしてしまうと、それよりも冷え込み気温がマイナス表記になることも多くなってしまうため、氷より冷えるものを基準点0℉としたかったのです。

そこで氷よりも冷たいものとして注目されたのが、氷と食塩を混ぜた寒剤です。そしてこの寒剤を0℉(約-17℃)と基準点にしました。

「水だけ」と「塩水」をそれぞれ冷蔵庫に入れて冷やすと、塩水のほうがより冷えます。家庭でもできるのでぜひやってみてください。

ふたつ目の理由にファーレンハイトの体温を96℉として設定したからだといわれています。本当は100℉としたかったところ、素数の都合上96にしたといわれています。

ちなみに、現在においてファーレンハイト温度は科学的な利用はされていませんが、英米各国における気温表示には使われています。

そういえばアメリカの天気予報を見ると、日本で慣れ親しんでいる気温とは違い、とんでもなく大きな数字が出てくるのでびっくりしますよね。

そもそも、私たちが普段使用している温度体系から、このファーレンハイト温度へはどのような温度変換をされているのでしょうか。

セルシウス・ファーレンハイト

後程紹介しますがこのセルシウス温度というのは、普段私たちが使用している温度体系のことです。

このようにして改めて変換式をみると、セルシウス温度から1.8倍してさらに32を足しているわけですから、天気予報の気温の数字が大きく見えるのもうなずけます。

2.セルシウス温度・摂氏温度

1714年にファーレンハイトが温度の測定方法を提案したから約30年後。1742年にアンデルス・セルシウスは以下のような温度を提案しました。

1気圧のもので、水の凝固点を100℃・沸点を0℃としてその間を100等分にする

なお「℃」は提案者であるセルシウスの頭文字からきています。この定義に従って温度表記されているのが「セルシウス温度」であり、現在私たちが利用している温度体系でもあります。

さて上記の定義をしっかりと読んでいただいている方の中には、凝固点と沸点が逆になっているは「記入ミスか?」と思われた方もいることでしょう。

実は、記入ミスではなく本当にセルシウス自身は上記のように温度表記を定義しました。ただセルシウス死後の1744年に、水の凝固点を0℃水の沸点を100℃と数値を逆にしたことにより、今日私たちが慣れ親しんでいる温度表記となったわけです。

【水が氷になる温度はなぜちょうど0℃なのか】

話しは少しそれますが、このセルシウス温度の話しから見えてくるのは

ちょうど水が0℃で氷になる・ちょうど水が100℃で沸騰する』と自然界が決めたのではなく、これは人間が勝手に決めた基準だということです。

水がちょうど0℃で氷になったり100℃で沸騰することについて、都合がよすぎると疑問に思っていた方もいるかもしれませんが、アンデルス・セルシウスがそのように決めたからだと覚えておきましょう。

3.ケルビン温度

セルシウス温度が使われておよそ100年後。1848年ケルビンは以下のような温度を提案しました。

これ以上が低くならない温度(絶対零度)を0Kとして定める。

なお「K」は提案者であるケルビンの頭文字からきていて、この温度定義に従って表示する温度のことを「ケルビン温度」といいます。

絶対零度という4単語に惹かれるのか、ゲームで出てくるのか、絶対零度という言葉自体は知っている子どもは意外に多いです。

ただ、その絶対温度が私たちが普段使用しているセルシウス温度で表記すると-273.15 ℃となるところまで知っている子どもはなかなかいません。

たびたび実験でお見掛けする液体窒素は約-196℃であり、絶対零度はそれよりもさらに80℃近く低い温度となります。

なお、この絶対零度には到達できないといわれており、調べた限りで現在もっとも低いとされている温度は0.65K =-272.5℃らしいです。

ちなみにセルシウス温度とケルビン温度との変換式ですが

セルシウス温度・ケルビン温度

となります。

ファーレンハイト温度と変換式を思い出せば、かなり簡単に変換ができます。

これは、セルシウス温度の基準点が水の凝固点0℃だったのに対して、ケルビン温度は温度の基準点をこれ以上が冷えない絶対零度へと、基準点だけを変更しただけだからです。

4.まとめ

ケルビン・セルシウス・ファーレンハイト

今回ケルビン・セルシウス・ファーレンハイト温度について説明をさせていただきました。

さて、ここで重要なのはケルビン・セルシウス・ファーレンハイト温度の変換式ではなくて、いろんな温度体系が世界にはあるということです。

※詰込み重心の教育だと変換式に目が行きがちですが…

どうしても同じ価値観の人と過ごしていると、会話の基本となるそれぞれの背景への配慮が少なくなってしまいます。

そうではなく、温度体系ひとつとっても、これで本当に相手に通じるだろうかと、相手の背景を思い考えてあげることも、科学においては非常に大切なことなのです。

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