自然現象の解説

なぜ「空は青く」「雲は白く」「夕焼けは赤い」のか?

なぜ「空は青く」「雲は白く」「夕焼けは赤い」のか?

これら3つの理由を理解するためには
「1.私たちがどのように色の認識しているのか?」
「2.太陽の光の中にどんな色が混ざっているのか?」
について学ぶ必要があります。

「2.太陽の光の中にどんな色が混ざっているのか?」については後ほど説明をしますが、「1.私たちがどのように色の認識しているのか?」については、長くなるので下記リンク先の記事にまとめてあります。

興味のある方はぜひ参考にしてください!

光の三原色
色の三原色と光の三原色の詳細

「私たちが認識している色は本当にその色なのだろうか?」その疑問に答えるには、「人間の色の対する認識」と「色の反射」について理解する必要があります。ここで色の三原色と光の三原色について学ぶことで、私たちが認識する色の真実に迫りましょう!

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1.太陽の光の中にはどんな色が含まれているの?

太陽の光の中にいろんな色が混ざっているのは本当なの?

太陽光スペクトル

みなさんは太陽の色をどのような色と認識していますか?

赤色でしょうか?白色でしょうか?それとも黄色でしょうか?

太陽の光の色についての認識は人それぞれですが、実は上のイラストのように「紫色・青色・緑色・黄色・橙色・赤色」など様々な色の光が混じりあっているのです。

では本当にいろんな色が混じりあっているのでしょうか?

実際にそのことを調べるためには、分光器という道具を使うとよいです。

分光器とは混ざり合っている光の色を分けることができる便利な道具のことです。

さて、その分光器を使って太陽の光をのぞいてみると、

太陽光のスペクトルにはほとんど隙間がない

このような結果になります。

太陽がどのような色と認識しているかは人それぞれですが、ほとんどの人が単色であると思っているはずです。

その単色であると思われる太陽光を分光器を使ってのぞいてみると、写真のように混じりあったいろんな光の色が分かれてきれいに整列されているのが分かります。

この結果から、太陽の光の中にほとんどすべての色が混ざっていることがわかります。

「そんなもの分光器を使えばすべての光が同じように見えるのではないか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

なので、同じ分光器を使って蛍光灯の光ものぞいてみました。

蛍光灯のスペクトルには隙間がある

すると、このような結果になりました。

太陽光と同じように、混じりあったいろんな光の色が分かれてきれいに整列されているのが分かります。

ただし、太陽光とは違い、色と色の間にすきまがあることがわかるでしょうか。

これは、蛍光灯は太陽光とは違い、すべての色が含まれているわけではないということになります。

分光器という実験器具を使って、太陽光の中には、ほとんどすべての色が含まれていることが分かったね!

2.なぜ空は青いのか?

色には広がりやすさがあるって本当?

ここまでに、太陽光の中にはいろんな色が含まれていることがわかりました。

さて急に話しは変わりますが、本来光というものはまっすぐ進みます。

そのため、急に進路方向を曲げて、あらゆる方向に広がったりすることはありません。

ただし、何か障害物に当たった場合は別です。

光は障害物に当たった場合、その進路方向を変えてしまいます。

たとえそれが窒素分子や酸素分子のように極端に小さい障害物でも、進路方向を変えられてしまいます。

特に、空気中には窒素分子や酸素分子が数えきれないほど存在します。

その数えきれない障害物に光は何度もぶつかっては進行方向を変えてを繰り返しています。

結果、光はいろんな方向に広がり拡散されてしまいます。

このように、光が何かに当たっていろんな方向に広がり拡散される様子を「光の散乱」と言います。

さて、この光の散乱ですが、窒素や酸素に対して「紫色・青色・緑色・黄色・橙色・赤色」すべての色が同じようにぶつかって、散乱するかというとそうではありません。

ここで、青色の波長を見てみましょう。波長は波の幅みたいなものを想像してもらえれば大丈夫です。

下記イラストから、紫色や青色など青色系の色は波長が短いことが分かります。

波長が短いと、窒素や酸素などの空気中の分子にぶつかりやすく散乱されやすくなります。

青色系は波長が短いため、窒素や酸素分子に当たりやすい

一方で、赤色の波長はどうでしょうか。先ほどの青色と違い、波長が長くなっているのが分かります。

そのため、赤や橙など赤色系の色は空気中の分子にぶつかりにくく、散乱されにくくなります。

赤色系は波長が長いため、窒素分子や酸素分に当たりにくい

その他の色も含めて、可視光領域における色のぶつかりやすさをまとめると下記イラストのようになります。

紫色系は散乱しやすくて、赤色系は散乱しづらい

つまり、赤系の色に比べて、青系の色の方が散乱されやすく、空全体に広がりやすいということになります。

結果として、空全体は青色の光が強く見えて、私たちは空を青空と認識しているのです!

レイリー散乱
このような色の広がりをレイリー散乱と言います

ちなみに、なぜより散乱しやすい紫色ではなく青色を強く認識するかというと、人間の目は紫色に比べて青色の方を強く認識するからだそうです。

青色は、空気の中で散らばりやすくて、どんどん広がるよ。
でも赤い色はあまり散らばらなくて、あまり広がらないんだ!

3.どうして雲は白いの?

さて、雲の中には、空気中の窒素や酸素よりも粒が大きい水滴やほこりなどの雲粒が存在します。

ちなみ酸素分子に比べて雲粒がどれぐらい大きいかというと、約1000倍大きいそうです。

1000倍も大きいですから、色の波長に関係なく、光の色はかなりの確率で雲粒に当たるということになります。

そのため、雲の中では「紫色・青色・緑色・黄色・橙色・赤色」すべての光の色が同じように広がって、結果として均一に混ざります。

さて、下記イラストの真ん中の白色のように、人間の目は光の色が均一に混ざれば混ざるほど白色であると認識します。

光の三原色

雲の中もイラストと同じようにいろんな色が混じりあっている状況ですから、結果として雲は白色に見えるのです。

もちろん、太陽の方向と雲の厚みによって雲の中で影ができて黒色に見えることもあることは、押さえておきたいポイントです。

雲の中ではいろんな光の色が均一に混ざるから白色に見えるということだね!

4.夕焼けはどうして赤いの?

日が沈むころになると空が青色から赤色なるのはどうして?

ここまで説明した通り、青色は他の色と比べて広がりやすい特徴があります。

それは、青色は遠くまで届きにくいということでもあります。

逆に、赤色は他の色と比べて広がりにくいため、真っすぐ遠くまで届きやすい特徴があります。

さて日が傾くほど、太陽光は長い距離空気中を通らなければなりません。

結果として赤色の方が私たちのところに届きやすくなります。

実際にお昼ごろと夕方の太陽光の中に含まれている色のバランスを見比べてみましょう。

まずはお昼ごろの太陽光スペクトルを見てみます。

お昼ごろの太陽光スペクトル。青色の光が相対的に強いのがわかる。

相対的に青色の色が強く届いているのが分かります。

次に夕方ごろの太陽光スペクトルを見てみましょう。

夕方ごろの太陽光スペクトル。相対的に赤色が強いのがわかる。

夕方になると青色の光も届いてはいますが、赤色の方が強く届いているのが分かります。

よって、もっとも遠くまで届く赤色が強くなり、夕日が赤色と感じるのです。

遠くまで届きやすい赤色が残って、それが夕日に見えるということだね!

5.まとめ

1.太陽の光の中にはいろんな光が含まれている
2.空気中の窒素や酸素などによって太陽光が拡散される(レイリー散乱
3.空気中の水分などによって太陽光が散乱される(ミー散乱

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