子どもの工作、親はどこまで手伝う? うまくいかないときの関わり方

子どもが工作を始めたけれど、うまく切れない、部品が合わない、途中で手が止まる。代わりに作ってあげたくなる場面で、親はどこまで手伝えばよいのでしょうか。

サイエンスデイズが家庭の工作でおすすめしたいのは「親は環境を整えて見守り、工作そのものは子どもが最初から最後まで作る」という関わり方です。

大人の役割は、取り組む工作を選び、使う場所や道具を整えることのふたつだと考えています。そのうえで、子ども自身が手を動かす時間を十分にとります。

そして、制作を教える立場から特に大切だと感じているのが、道具の準備と片づけです。大人には日常の用事に見えても、子どもには「自分でやってみたい」挑戦の一つになることがあります。

親は環境を整えて見守り、工作そのものは子どもに任せる

最初から最後まで、自分の手で作ってもらう

自分で紙の家を作る女の子を、手を膝に置いて少し離れた椅子から見守る母親のイラスト

切る、折る、貼る、組み立てる。工作を作るところは、基本的に子どもに任せます。親が切り直したり、ずれた部品を貼り直したりせず、本人が作った形を見守ってみてください。

線が少し曲がっていても、思っていた形と違っていても、その作品には自分で進めた過程があります。不格好な形にも、その子らしい味わいがあります。仕上がりを整えることより、子どもが「自分で最初から作った!」と思えることを大切にしたいと考えています。

見守るときは、すぐ隣で一つずつ直し方を伝え続けるより、本人が何をしようとしているかを見ます。困って声をかけてきたら話を聞きますが、そのまま作品を引き取って完成させる必要はありません。

作業する場所と、安心して使える道具を親が整える

子どもが使いやすい道具の収納を整えた場所で、工作用のマットを机に敷く父親と見ている女の子のイラスト

安全に工作がしやすい環境を作るのは、親の役割です。机の上に作業する広さを確保し、必要な材料をそろえ、道具を取り出す場所と戻す場所を決めておきます。

道具は、本人の経験に合い、使い方を理解して扱えるものを選びます。初めて使うものは、作り始める前に使い方と注意点を伝えましょう。道具を出し入れする練習も、ここから始められます。

見守りは、危ない使い方までそのままにすることではありません。危険があるときは作業を止めます。家庭で本人に任せられない道具や工程があるなら、別の材料や作り方を選び、子ども自身が作れる工作に整えましょう。

最も大切にしたいのは、道具の準備と片づけ

工作の話では、何を作るか、どう作るかに目が向きがちです。サイエンスデイズでは、それと同じように、道具をきちんと保管し、必要なときに準備して、使い終わったら元に戻すことも欠かせない経験だと考えています。

準備と片づけも、子どもにとっては挑戦になる

工作に使う道具を自分で収納箱から取り出して並べる男の子のイラスト

大人にとって準備と片づけは、やらなければならない用事に感じられるかもしれません。でも子どもにとって、道具の場所を覚える、必要なものを選んで並べる、使い終わったものを戻すことは、やってみたい挑戦の一つでもあります。

親が毎回すべてを机に並べて、最後も片づけてしまうと、その部分を自分で試す機会がなくなります。保管場所を整え、出し方や戻し方を伝えたら、本人ができる準備と片づけを任せてみてください。

道具の居場所と、戻し方が分かるようにする

閉じたはさみなどの道具が収まった収納箱に、定規を自分で戻す女の子のイラスト

例えば、はさみはここ、定規はここ、テープはここ、と道具の居場所を決めます。必要なら箱を分けたり、道具の形や写真を目印にしたりして、どこへ戻せばよいか分かるようにします。

作り始めるときには、今日使うものを自分で取り出して並べる。終わったら、はさみを閉じる、道具についた汚れを落とす、決めた場所へ戻す。使う道具に合う扱い方を親が伝え、その後は子どもが自分で進められる環境にします。

ただし、カッターなどの刃物は、扱い方と保管に注意が必要です。まずは安全に出し入れできる道具から始めましょう。刃物などの保管場所や管理方法は大人が決め、子どもが使ってよい範囲も分かるようにしておきます。

「準備できた」「きれいに戻せた」も、自分でできた経験になる

必要な道具を準備できた!
使い終わった後に、きれいに元へ戻せた!

作品の完成だけでなく、こうした一つひとつにも「自分でできた」と思える場面があります。

工作を教えていると、この実感が自分への自信や、工作を好きになるきっかけにつながると感じています。準備と片づけは、自己肯定感を支える経験にもなり得るのではないかと考えています。

作品が完成しなかった日にも、できたことは残ります。

道具を自分で用意し、最後にきちんと戻せたなら、それも一つの成功経験として受け止めてみてください。

どんな工作に取り組むかは、大人が判断する

子ども自身が最後まで作れそうか、工程全体を見る

工作を始める前に、材料や道具と作り方の流れを確認する父親と、そばで待つ女の子のイラスト

制作を子どもに任せるために、取り組む工作は大人が判断します。本人の作りたい気持ちを聞きながら、使う道具、材料の扱いやすさ、手順の長さを確かめましょう。

完成見本が簡単そうに見えても、途中に細かい切り抜きや、強い力が必要な組み立てがあるかもしれません。これまでの道具の経験を踏まえ、最初から最後まで本人が作れそうかを見ます。

親が難しいところを作る前提で選ぶより、子どもが自分で作れる題材を選ぶのがおすすめです。同じような作品でも、薄い紙を使う、部品の数が少ないものを選ぶなど、取り組みやすい方法を探せます。

少し難しかったら、次に選ぶ工作の手がかりにする

大人が考えて選んでも、実際に取り組むと少し難しいことがあります。作ってみるまで分からない部分もあるので、一度でちょうどよい題材を選べなくても、次の判断に生かせます。

どの道具を扱うところで止まったのか、どの部品が難しかったのか。その経験をもとに、次の工作を選んでみてください。本人が作れる範囲を知ることも、環境づくりの一部です。

できなかった経験も、次の挑戦につながる

完成しなかったところを、大人が仕上げなくてもよい

少し難しい工作に取り組んで、今回は完成しなかった。それも意味のある経験だと考えています。

親が続きを作って完成品にするより、本人がどこまで進め、どこが難しかったかを残しておけます。

落ち着いて振り返れるときに、どうしたらできるようになりそうかを話したり、しばらくたってから同じ工作に挑戦したりしてみましょう。道具の使い方に慣れてから、もう一度取り組む方法もあります。

「できなかった」を一度で終わらせず、どの部分が難しかったのかを少しずつ捉え直す。後で同じ作業ができるようになったときには、前の自分との違いを感じる機会にもなります。

「もうやりたくない」となったら、落ち着いてから始める

工作がうまくいかず涙ぐんで手を止めた男の子に、母親が目線を合わせて肩へそっと手を添えるイラスト

うまくいかず、すぐに「無理」「もうやりたくない」と言っているときは、その場で続きを求めず、いったん休みましょう。今すぐ、できなかった理由まで説明してもらう必要もありません。

気持ちが落ち着き、また作ってみたくなったら、少し簡単そうな工作から始めればよいと思います。そこで自分で作れた経験を重ね、以前の工作に興味が戻ったら、改めて挑戦できます。

完成しなかった作品や部品は、本人の気持ちを聞いて、続きに使えるよう保管することもできます。道具を元に戻して作業を終えるところまでを、その日の取り組みとして見てあげてください。

親が整える環境が、子どもの「また作りたい」を支える

家庭の工作では、制作を子どもに任せ、親は取り組む題材と環境を整えて見守る。その土台になるのが、道具の準備・保管・片づけです。

道具を出せた、元に戻せた、自分の手で作品を作れた。少し難しかったけれど、また挑戦できた。そうした経験を、完成品のきれいさだけで判断せずに見てみてください。

専門的な道具や技術に興味が出てきたら、使い方を教わりながら子ども自身が制作する場を選ぶ方法もあります。サイエンスデイズの小学5年生の木製望遠鏡制作でも、資料で寸法を示し、線引きの確認や道具の使い方の指導を受けながら、子どもが作業を進めます。

家庭で見守ることと、教室で技術を教わることは、それぞれの環境に合う関わり方です。教室を選ぶ際も、大人が作品を仕上げるかより、子どもが自分で作業する時間と、道具の扱いを学べるかに目を向けてみてください。

浜松市で工作を扱う教室をお探しの方へ。サイエンスデイズの授業や道具の指導は、以下の学年別クラスの案内でご覧いただけます。

この記事を書いた人

林田 亮のアバター 林田 亮 サイエンスデイズ代表

1984年浜松市生まれ。
静岡大学工学院工学研究科修了。大学院では、システム工学の立場から、人工衛星の軌道に関わるシミュレーションの研究に取り組んだ。
2012年にサイエンスデイズを創設し、年長から中学生までの子どもたちに理科実験と自由研究を教えている。

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