「科学者」と「技術者」と聞いて、皆さんはどのような仕事を思い浮かべるでしょうか。
どちらも科学の知識を使いながら、実験や測定を行ったり、得られたデータを調べたりすることがあります。そのため、そうした仕事の様子だけを見ても、両者の違いが分かりにくいかもしれません。
そこで、何をしているかでなく「何のために取り組んでいるのか」に目を向けてみます。同じものを見ていても、そこから生まれる問いには違いがあります。
同じドローンを見ても、気になることが違う

例えば、大きく揺れながら飛んでいるドローンを想像してみてください。今にも落ちそうに見えますが、それでも飛び続けています。
その様子を見て、「こんなに不安定なのに、どうして飛び続けられるのだろう」と思う人もいるでしょう。
何が起きているのか、どのような仕組みで飛んでいるのか。観察や測定を通して、その理由を明らかにしようとするところには、科学的な探究の側面があります。
一方で、「このドローンを、もっと安定して飛ばすにはどうすればよいだろう」と考える人もいるかもしれません。
目指す飛び方を実現するために、構造や制御の方法を考え、試しながら改善していく。こちらには、技術的な取り組みの側面があります。
大まかにいうと、科学者は、まだ分かっていない現象や仕組みを明らかにすることを目指します。技術者は、必要な機能や条件を満たすものや仕組みを、設計し、作り、改善することを目指します。
科学と技術は、はっきり分かれているわけではない

ただし、この例だけで「あなたは科学者向き」「あなたは技術者向き」と判断できるわけではありません。
ドローンを安定させようとする技術者であっても、「なぜ揺れるのか」を調べる必要があるでしょう。反対に、飛ぶ仕組みを調べる科学者が、仕組みを理解するために必要な測定装置を作ったり、改良したりすることもあります。
仕組みを知ることが改善につながり、改善のために試したことから新しい疑問が生まれる。科学と技術は、そのようにつながっています。
ふたつの間を、一本の境界線でくっきり分けられるわけではありません。色が少しずつ移り変わるグラデーションのように、つながっていると考えるとよいでしょう。
サイエンスデイズでも、調べることと作ることを行き来する

サイエンスデイズでも、仕組みを調べることと、目的に合わせてものを作ることの両方に取り組んでいます。
例えば、電気について学ぶ授業では、導線にみのむしクリップをはんだ付けして、実験に使う線を自分で作ります。
作った線は、その後の実験でも使います。果物電池でどれくらいの電圧が得られるかを調べるときも、この線をつないで測定します。
この取り組みには、電気を理解しようとする面と、実験ができる環境を自分で整える面があります。道具作りも、調べる活動を支える工程の一つです。
教室では、科学と技術のどちらか一方に決めるのではなく、調べるために作り、作ったものを使って調べる経験を重ねています。
職業の名前より、その子がやってみたいことを聞く

子どもが「科学者になりたい」と話したとき、詳しく聞いてみると、「ロボットを作りたい」「新しい乗り物を開発したい」といった夢なのかもしれません。
それを聞いて、「科学者というより、技術者の仕事ではないかな」と感じる保護者もいるでしょう。
けれど、その場で職業の名前を訂正する必要はないと思います。子どもは、知っている言葉を使って、自分の憧れや、やってみたいことを伝えているのです。
科学者と技術者には、仕事の目的や役割の違いがあります。しかし、どちらにつながる興味であっても、子どもの「知りたい」「作ってみたい」という気持ちの価値は変わりません。
「何になりたいの?」に加えて、「どんなことを知りたいの?」「どんなものを作ってみたいの?」と聞いてみると、その子の興味がもう少し具体的に見えてくるかもしれません。
家庭でできる具体的な関わり方は、こちらの記事で紹介しています。
子どもが科学者になりたいと言ったら、親にできる3つのサポート
子どもが科学者になりたいと言ったら、親はどう支えればよいのでしょうか。自分で調べたい疑問を見つけることを大切にする、浜松市の理科実験教室サイエンスデイズの考えと、家庭でできる3つのサポートを紹介します。
あらゆる記事の中でお伝えしておりますが、科学者であれ技術者であれ、何になりたいかよりも、何をしたいのか。その姿勢こそ、大切にしていただきたいと思います。
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