ミョウバンの結晶は、どうやって作るの?
ミョウバンの結晶は、温かい水にミョウバンを溶かし、その水溶液をゆっくり冷ますことで作れます。透明な水溶液の中から、角のある結晶が現れる変化を観察できる実験です。
このページでは、ミョウバンと水を使う作り方を紹介します。家庭用のはかりやスプーン、熱いお湯に対応したカップなどを使って、自宅でも取り組める実験です。
使うのは「ミョウバン」と表示された製品で、「焼きミョウバン」は使いません。
材料・手順・結晶ができないときの確認点を先に説明し、後半で飽和水溶液や溶解度、再結晶のしくみを解説します。
作業の流れは「材料を量る → 温めて溶かす → ゆっくり冷ます → 数日かけて観察する」です。
加熱や熱い容器を扱うときは、やけどに気を付けて作業しましょう。
ミョウバンの結晶づくりに必要な材料と道具
今回は、ミョウバン26.5gと水100gを使います。この分量は掲載している実験写真と同じで、後半の「結晶の量を考える計算」でも使います。
ミョウバンは、必ず26.5gでなければならないわけではありません。水の量と温度をそろえてミョウバンの量を変えると、結晶のでき方を比べられます。
製品の成分名が「硫酸アルミニウムカリウム」で、「焼きミョウバン」ではないことを確認します。材料と水は、加熱する前にはかりで量ります。
- ミョウバン:26.5g
- 水:100g
- 熱いお湯に対応した容器:容量200mL以上の耐熱カップなど
- 材料を量る小さな容器
- 家庭用のはかり(キッチンスケール)
- 熱いお湯に使えるスプーンなどの混ぜる道具
- 水を温める小鍋などと、その鍋に対応した加熱器具
- 鍋敷きなど、熱い容器を置けるもの
- 保護眼鏡、熱い鍋を扱うためのミトンなど
ビーカーやガラス棒を用意する必要はありません。容器や混ぜる道具は、熱いお湯に使えることを製品の表示で確認してください。透明な容器なら、結晶ができる様子も見やすくなります。
温度計は、水温と結晶のでき方を比べたいときに使います。ノートや写真を撮る道具もあると、自由研究の記録に役立ちます。
ミョウバンと焼きミョウバンの違い
ミョウバンは、結晶の中に水を含んでいます。焼きミョウバンは、その水を加熱で取り除いたものです。
焼きミョウバンでも結晶は作れますが、このページのミョウバンを同じ重さの焼きミョウバンに置き換えると、実験の条件が変わります。
補足すると、今回使うミョウバンの詳しい名前は「カリミョウバンの12水和物」といいます。
「12水和物」は、結晶の中に水を含む状態の名前です。このページでは「カリミョウバンの12水和物」を「ミョウバン」と呼んでおり、別の材料を用意するという意味ではありません。
ミョウバンにはアンモニウムミョウバンもあるため、このページの分量と図表を使う場合は、成分名が「硫酸アルミニウムカリウム」であることも確かめます。[1]
| 材料 | 確認すること |
|---|---|
| ミョウバン | このページの作り方で使います。今回は26.5gを用意します。 |
| 焼きミョウバン | 白く濁り、完全に溶けるまでに時間がかかることがあります。[1] ミョウバンを同じ重さの焼きミョウバンに置き換えると、別の条件の実験になります。 |
実験を始める前の注意
お湯や、お湯を入れた容器は熱くなります。実験の手順を確認し、やけどに気を付けて作業しましょう。
保護眼鏡を着け、安定した場所で作業してください。容器と加熱器具は、それぞれの説明書に従って扱います。
- 使い捨てのプラスチックコップや、耐熱性の分からない容器には熱い水を入れません。
- 耐熱カップでも、直接火にかけられるとは限りません。この手順では、お湯を別に用意して容器へ入れます。急に冷水へ入れるなどの急激な温度変化も避けます。
- ミョウバンや水溶液、できた結晶を口に入れません。飲み物と間違えないように置き場所を分けます。
- 実験後は手を洗います。残った材料や水溶液は製品の表示と地域のルールに従って処理します。
ミョウバンの結晶の作り方
材料を量り、温かい水にミョウバンを溶かしてから、静かな場所でゆっくり冷まします。ここでは、まず容器の中に結晶ができる様子を観察します。
1.ミョウバン26.5gと水100gを量る
小さな容器をはかりに載せ、容器の重さを差し引いてからミョウバンを26.5g量ります。
別に、水を温める小鍋などへ水100gを量り取ります。はかりに載せるときは、容器の重さを差し引きます。
2.水を温めて、ミョウバンを溶かす
量った水を小鍋などで温め、熱いお湯に対応したカップなどへ移します。カップは先に鍋敷きなどの上へ置いておき、やけどに気を付けて作業しましょう。
水を温めるときは、鍋と加熱器具の説明書に従って扱います。観察用のカップは、直接火にかけません。
量ったミョウバンを少しずつ加え、熱いお湯に使えるスプーンなどで静かに混ぜます。底に粒が残っていないかを確認しながら溶かしてください。
混ぜる回数を決めて終えるのではなく、ミョウバンが溶けたことを確かめてから冷ますことが大切です。
長く温めると水が蒸発し、最初に量った分量から変わります。必要以上に長く加熱せず、お湯を容器へ移したらミョウバンを加えて混ぜます。
ミョウバンが溶けたことを確かめたら、そのまま冷まします。温度計があれば、溶けたときの水温も記録してみましょう。
3.動かさず、ゆっくり冷ます
ミョウバンが溶けたら、鍋敷きなどの上で容器を動かさずに冷まします。熱い容器には、素手で触らないようにしましょう。
直射日光や振動を避け、そのままゆっくり冷まします。
はじめは室温で冷まし、冷蔵庫や氷水で急に冷やす方法は使いません。冷まし方をそろえて観察すると、結晶ができ始めた温度や時間を比べやすくなります。
4.数日かけて結晶を観察する
底や側面に小さな結晶が現れるかを観察します。結晶の数、大きさ、形、できた場所を、毎日同じ時刻に写真やノートへ記録してみましょう。
結晶が出てくるまでの時間は、室温、水の量、材料の種類、冷え方などによって変わります。まだ見えないときは、次の確認点を順番に調べてください。
結晶ができない・溶けないときの確認点
ミョウバンが溶けないときは?
材料が焼きミョウバンではないか、水が100gか、温度が十分かを確かめます。
お湯を移したり、材料を加えたりするときに水温が下がっていることもあります。温度計があれば、水温を確かめます。
温め直す場合は、湯せんに使えると確認した容器を使い、ゆっくり混ぜます。温め直すときも、やけどに気を付けましょう。
焼きミョウバンを使っている場合は、溶けるまでに時間がかかることがあります。今回の分量はミョウバン用なので、同じ重さの焼きミョウバンでは条件が異なります。
焼きミョウバンを使う別の方法は、文献[1]の「家庭で作る場合」で紹介されています。[1]
容器の底に結晶が固まった状態で、ガラス容器を直火にかけないでください。ガラスが割れることがあります。[1] 熱いお湯を入れられるカップでも、直火や湯せんに使えるとは限らないので、製品の表示を確認してください。
冷ましても結晶ができないときは?
溶けているミョウバンの量が少ない、冷ました場所の温度が高い、といった可能性があります。材料の分量と水温、観察を始めてからの時間を記録して確かめましょう。
夏など室温が高いときは、冷ました水溶液の温度も高くなります。涼しい時期より結晶になる量が少なくなることもあるので、冷ました場所の温度も記録します。
水を多く入れた場合は、同じ26.5gでも薄い水溶液になります。原因を調べるときは、材料の量、温度、待つ時間を一度に変えず、条件を一つずつ確かめます。
冷めても、その温度で通常溶ける量を超えたミョウバンが、しばらく溶けたままでいる場合があります。この状態を「過飽和」といいます。
過飽和の水溶液では、同じ材料の小さな結晶を一粒入れることが、結晶が育ち始めるきっかけになる場合があります。[1][3]
ただし、水溶液が薄かったり温度が高かったりすると、入れた結晶が溶けることもあります。[1][3]
小さな結晶ばかりできるときは?
水溶液を急に冷やすと、多くの小さな結晶ができやすくなります。また、結晶の数が多いと、溶けているミョウバンはそれぞれの結晶へ分かれていきます。大きな一粒を育てたい場合は、冷まし方に加えて、次の「種結晶」を使う方法を考えます。
ミョウバンの結晶を大きく育てるには
大きな結晶を目指すときは、小さな結晶を作ったあと、形のよい一粒を「種結晶」として育てる方法があります。溶かすミョウバンを増やすだけでは、一粒が大きくなるとは限りません。
種結晶は、適した温度の飽和に近い水溶液へ入れ、ゆっくり冷ます[3]か、水を少しずつ蒸発させて育てます。[1]
水溶液が薄い場合や、入れるときの温度が高すぎる場合は、種結晶が溶けてしまいます。[3]
反対に、濃すぎたり温度が低すぎたりすると、急に育って白くごつごつした結晶になりやすくなります。[3]
つるして育てる方法では、種結晶を水面と容器の底の両方から離します。[3]
容器の底に置き、ときどき向きを変えながら育てる方法もあります。[1] この二つは育て方が違うので、実験ではどちらの方法を使ったかを記録します。
まずはこのページの手順で結晶ができる様子を確かめ、次の実験として「種結晶を使う場合と使わない場合」を比べると、結晶の育ち方を調べられます。
なぜミョウバンの結晶ができる? 飽和水溶液と再結晶
ミョウバンは温かい水には多く溶け、冷たい水には溶ける量が少なくなります。温めて溶かした水溶液を冷ますと、溶けたままでいられなくなった分が結晶として出てきます。
飽和水溶液とは
ある温度で、ミョウバンがそれ以上溶けないところまで溶けた水溶液を「飽和水溶液」といいます。同じ量の水でも、温度が変わると溶ける量は変わります。
水100gにミョウバンを4gずつ加えた実験では、4g、8gでは溶けても、12gまで加えると粒が残りました。
こうした結果を比べるときは、水温も一緒に記録します。「水100gならいつでも同じ量が溶ける」とは限りません。
ミョウバンの溶解度曲線の読み方
一定の温度で水100gに溶ける物質の最大の量を、gで表したものを「溶解度」といいます。横軸を温度、縦軸を溶ける量にして表したグラフが「溶解度曲線」です。
次の図表は、水100gに溶けるミョウバンの量を示します。対象は、今回使うカリミョウバンの12水和物です。ミョウバンの結晶に含まれる水は、最初に量り取る水100gには含めません。
| 温度 | 加える水100gに溶けるミョウバンの量 |
|---|---|
| 10℃ | 7.6g |
| 20℃ | 11.5g |
| 30℃ | 16.5g |
| 40℃ | 24.0g |
| 50℃ | 36.1g |
| 60℃ | 57.5g |
| 70℃ | 110.1g |
図表の値は、このページの実験で測った値ではありません。例えば30℃では16.5g、70℃では110.1gと、温度によって溶ける量が変わります。
資料によっては、結晶に含まれる水を除いた「無水物」の重さと、溶液中の全水量を基準にしています。この表とは重さの数え方が違うため、数字をそのまま比較しないことが大切です。
再結晶と、結晶の量を考える計算
一度溶かした物質を、再び結晶として取り出す操作を「再結晶」といいます。この実験では、温度による溶解度の違いを利用しています。
準備した水100gにミョウバン26.5gをすべて溶かし、水が蒸発しないまま30℃まで冷ました場合を考えます。
上の図表から、30℃で溶けたままでいられるミョウバンの量は16.5gです。十分に結晶ができ、水溶液と結晶の状態が落ち着くと、計算上は次の量が結晶になります。
26.5g − 16.5g = 10.0g
ミョウバンの結晶としての計算量です。
この計算には、ミョウバンが溶けるときと結晶ができるときの、結晶に含まれる水の出入りも含まれています。[2]
実際に取り出して量る重さは、計算量と同じになるとは限りません。
水が蒸発したり30℃より低い温度まで冷えたりすると、結晶になる量は増えます。30℃まで冷えていない場合や、過飽和のままでまだ結晶が十分にできていない場合は少なくなります。
また、取り出すときの損失や表面に残った水溶液も、量った重さに影響します。
結晶づくりにミョウバンを使う理由
ミョウバンは温度による溶解度の差が大きいため、水溶液を冷やすことで結晶を取り出しやすい材料です。
食塩はミョウバンに比べて温度による溶解度の変化が小さく、冷やすだけでは結晶を取り出しにくいため、水を蒸発させる方法がよく使われます。
自由研究では何を調べる?
「作れたかどうか」に加えて、条件を一つ変えると結晶の数や大きさがどう変わるかを調べると、自由研究としてまとめやすくなります。
- 冷まし方を変える:同じ水溶液を等量に分け、室温で自然に冷ます場合と、耐熱性の保温容器でゆっくり冷ます場合の結晶を比べる。
- ミョウバンの量を変える:水の量と温度をそろえ、十分に溶かしたミョウバンの量による違いを比べる。
- 種結晶の有無を変える:同じ条件の水溶液で、結晶の育ち方を比べる。
- ミョウバンと焼きミョウバンを比べる:種類を記録し、同じ重さを使う比較では含まれる水の量も違うことを踏まえて考察する。
ノートには、材料の種類と重さ、水の重さ、溶かしたときの水温、冷ました場所、結晶が現れた時刻を残します。
写真は同じ向きから撮り、定規などの大きさを比べられるものを一緒に写すと変化が分かります。
途中でうまくいかなかった場合も、変えた条件と観察した結果を残してください。「なぜ違いが出たのか」を考えるための記録になります。
ミョウバンの結晶づくりのまとめ
今回はミョウバン26.5gと水100gを量り、温めた水を熱いお湯に対応した容器へ移してミョウバンを溶かし、ゆっくり冷まして観察します。
家庭用のはかりやスプーン、耐熱カップなどを使って取り組めます。
焼きミョウバンとの違いを確認し、加熱や熱い容器を扱うときは、やけどに気を付けて作業しましょう。
結晶ができる理由は、冷えると水に溶ける量が少なくなるためです。作り方と理論をつなげて考えると、結晶ができない理由や、大きく育てるために変えたい条件も見えてきます。
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参考資料
材料の違い、結晶の育て方、再結晶の計算の考え方は、下記の資料を参考にしています。
ミョウバン26.5g・水100gという分量は、掲載している実験写真の記録によるものです。
- 小坂美貴子「ミョウバンの結晶を作ろう」『化学と教育』71巻2号、38–39頁、2023年(DOI: 10.20665/kakyoshi.71.2_38):39頁「3 家庭で作る場合」に12水和物と焼きミョウバンの説明。38–39頁には、種結晶を置いて水を蒸発させながら育てる方法。本文PDF。
- 水落絵梨・中川徹夫「小学校理科『物の溶けかた』における再結晶の効果的な指導法.1.計算」『日本科学教育学会研究会研究報告』16巻3号、27–32頁、2001年(DOI: 10.14935/jsser.16.3_27):28頁「2 理論」で、水和水を含む場合と含まない場合の析出量を分けて計算。32頁で、水和水が析出量に及ぼす影響を説明。本文PDF。
- 日本化学会近畿支部「質問コーナー Q135」(2007年8月28日):濃度、種結晶を入れる温度、冷却速度が結晶の成長に影響すること、種結晶が溶ける原因、容器の底から離してつるす工夫。