水と油って、混ぜるとどうなる?
「青く色を付けた水」と「赤く色を付けたベビーオイル」を一つの容器に入れて、よく振るとどのような変化が起きると思いますか?
振った直後は全体が赤く濁り、一つの液体に混ざったように見えます。
しかし、そのまま置いておくと下から青い水が現れ、最後には「赤く色を付けたベビーオイル」と「青く色を付けた水」に再び分かれます。
このページでは、そんな不思議な現象を家庭で再現するための材料と実験方法を紹介します。
水と油の実験で用意するもの
- 水:約15mL
- ベビーオイル:約5mL
- 青い水性絵具:少量(今回使用したものは、ぺんてる)
- 赤い油絵具:少量(今回使用したものは、クサカベ)
- ふた付きの30mLプラスチックバイアル:1個
- 着色用の透明なカップ:2個
- 絵具を混ぜる棒:2本
- 液体の量をはかる道具
このページでは、ベビーオイルと上記の絵具を使って実際に試した方法を紹介します。
ほかの油や絵具では、色の付き方や分離後の見え方が変わる可能性があります。興味がある方は、材料を変えた場合の違いも調べてみてください。
水と油の色の実験のやり方
実験方法を「色を付ける」「容器に入れる」「振って観察する」の3段階に分けて紹介します。
子どもが操作する場合も、材料の準備と安全確認は大人が行い、実験中はそばで見守ってください。特に、振る前のふたと液漏れの確認が必要です。
1.青い水と赤い油を作る
- 透明なカップへ水を約15mL入れ、青い水性絵具を少量ずつ混ぜます。
- 別のカップへベビーオイルを約5mL入れ、赤い油絵具を少量ずつ混ぜます。
水性絵具は一度にたくさん入れず、色を確認しながら少量ずつ混ぜます。絵具が多すぎると、分離途中の境目が見えにくくなります。
次に、ベビーオイルへ赤い油絵具をほんの少しだけ加えます。入れすぎると絵具のかたまりが残り、層の変化を観察しにくくなることがあります。棒の先に少量の絵具を取り、よく混ぜてください。
水と油のどちらから着色しても構いません。水を先に準備すると、そのまま容器へ入れる順番につながるため、子どもにも手順が分かりやすくなります。
2.容器に青い水と赤い油を入れる
- 30mLのプラスチックバイアルへ、青い水を先に入れます。
- 青い水の上から、赤い油を静かに加えます。
- ふたをしっかり閉め、傾けても液体が漏れないことを確認します。
容器の半分ほどまで青い水を入れ、その上に、水の3分の1ほどの量の赤い油を加えます。赤い油は、絵具のかたまりがない上澄み部分を使うと変化を観察しやすくなります。振りやすいよう、容器の上部には空間を残してください。
3.振って変化を観察する
- 振る前の色と、上下のどちらに水と油があるかを観察します。
- 容器を約10回振り、振った直後の色を観察します。
- 容器を平らな場所へ置き、どこから色の層が戻るかを観察します。
実験すると色はどう変わって見える?
今回の条件では、振る前は上が赤い油、下が青い水でした。振った直後は赤色が強く見え、置いておくと下から青い層が戻り始めました。
振る前:上が赤い油、下が青い水
振る前は二つの色の境目を確認できます。今回使ったベビーオイルは水より密度が小さいため上側に、水は下側に集まっています。
振った直後:赤く混ざったように見える
容器を約10回振ると、赤い油と青い水が細かな液滴になって広がります。今回の分量と絵具の濃さでは、赤色が強い一つの液体のように見えました。
色の見え方は、水と油の割合、絵具の量、光の当たり方によって変わります。赤、ピンク、紫に近い色、濁った色など、毎回同じ色になるとは限りません。
置いた後:下から青い水が戻り始める
振るのをやめると分離はすぐに始まります。写真では、容器の下に青い水の層が現れ、その上にはまだ赤く濁った部分が残っています。
完全にはっきりした層へ戻るまでには、もう少し時間が必要です。分数だけを測るのではなく、「どこから分かれ始めたか」「境目がどのように変わったか」に注目すると、変化の途中も観察できます。
子どもと観察するときの問いかけ
この実験は色の変化が大きく、難しい測定をしなくても「振る前」「振った直後」「置いた後」を比べられます。大人が材料を準備し、安全を確認してそばで見守れば、園児でも取り組みやすい実験です。
結果や理由を先に説明するのではなく、振る前に「何色になると思う?」と子どもへ聞いてみましょう。「紫色になるかな」「灰色になるかも」など、いろいろな予想が出てきます。科学的に正しい答えでなくても構いません。まず、自分の言葉で予想することが大切です。
実際に起きた変化を自分の言葉で表し、予想と比べることで、予想・観察・比較という実験の基本的な流れを体験できます。
実験中は、次のように声をかけてみてください。
- 振ったら、何色に見えると思う?
- このまま置いたら、色はどうなると思う?
- どこから青い色が戻ってきた?
- もう一度振ったら、同じ変化が起こるかな?
色の名前を一つに決める必要はありません。「予想と同じだったところ」「違ったところ」「時間とともに変わったところ」を具体的に話してみてください。
水と油が混ざらず元に戻るのはなぜ?
水と油が元の層へ戻るのは、振っただけでは分子の段階で溶け合わず、細かく散らばった液滴が時間とともに集まるためです。
水と油では分子の性質が違う
水の分子には電気的な偏りがあり、この性質を「極性」といいます。一方、油をつくる主な分子には極性がほとんどありません。そのため、水は水同士、油は油同士で集まりやすく、安定した一つの液体にはなりません。
図の「少し+」「少し−」は、水分子の中にある電気的な偏りを表しています。水と油が混ざらない主な理由はこの極性の違いで、油が上になる理由は密度の違いです。
青い水性絵具は水側に、赤い油絵具は油側になじみやすいため、二つの液体が分かれていく様子を色で追うことができます。
振ると細かな液滴になり、混ざったように見える
容器を振ると、水と油は細かな液滴となって互いの中に散らばります。赤と青が狭い範囲に重なって見えるため、目には一つの色に混ざったように映ります。このように、一方の液体がもう一方の液体の中へ細かな粒として分散した状態を「乳濁」または「エマルション」と呼びます。
今回は洗剤などの乳化剤を加えていません。細かな液滴を離れたまま保つものがないため、液滴同士が少しずつまとまり、再び二つの層へ戻ります。
油が上、水が下になるのは密度が違うため
「混ざらない理由」と「上下に分かれる理由」は別です。混ざらない主な理由は分子の性質の違いです。その後、今回使用したベビーオイルは水より密度が小さいため上へ、水は下へ集まります。
この二つを分けて考えると、混ざりやすさは分子の性質、上下の位置は密度という違いを整理できます。
科学的な説明は、American Chemical Societyの「Can Liquids Dissolve in Water?」と、Royal Society of Chemistryの油水乳化資料も参考にしています。
安全に実験するための注意
操作自体は子どもでも行えますが、子どもだけに任せて目を離してよいという意味ではありません。大人がそばで見守り、容器のふた、液漏れ、材料の扱いを確認してください。
- 絵具やベビーオイルを目や口に入れない
- ふたを開けたまま容器を振らない
- 油を床へこぼした場合は、滑らないようすぐに拭き取る
- 必要に応じて敷物や汚れてもよい服を用意する
- 使用する絵具とベビーオイルの商品表示を確認する
- 火や熱源の近くでは実験しない
- 実験後の油や絵具は流しへそのまま流さず、自治体の分別・廃棄方法に従う
目に入った場合などは、使用した商品の表示に従って対応してください。
きれいに分かれないときの確認ポイント
水と油の境目が見えにくいときは、まず容器を平らな場所へ置いて待ちます。そのうえで、絵具の量、水と油の割合、容器に残った洗剤を確認してください。
振った直後なら、そのまま待つ
分離はすぐに始まりますが、細かな液滴が残っている間は境目がぼんやりします。下から青い層が現れる様子を見ながら、完全に分かれるまで待ちます。
絵具の種類と量を確認する
青い水には水性絵具、赤い油には油絵具を使います。絵具が多いと境目が見えにくくなるため、少量から試します。
水と油の割合を確認する
今回の条件は、水約15mLに対してベビーオイル約5mLです。油の割合が多いと赤色が強く見え、水側への赤いにじみも目立ちやすくなります。
容器に洗剤が残っていないか確認する
洗剤は、水と油の細かな液滴を分散した状態に保ちやすくする乳化剤として働きます。容器に洗剤が残っていると、今回の写真とは異なる結果になる可能性があります。
水と油の実験についてよくある質問
ベビーオイル以外でも実験できますか?
このページで実際に結果を確認したのはベビーオイルです。ほかの油でも水と分かれる様子は観察できますが、油絵具のなじみ方や色、分離する速さが異なる可能性があります。
どのくらい待つと元に戻りますか?
振るのをやめると分離はすぐに始まります。ただし、はっきりした二つの層へ戻るまでの時間は、振り方、絵具の量、水と油の割合によって変わります。
何度振っても元に戻りますか?
今回の材料では、繰り返し振っても再び水と油に分かれました。振るたびに、分離の始まり方や色の見え方が同じか比べられます。
振った後は何色になりますか?
今回の条件では赤色が強く見えました。水と油の割合や絵具の量によって見え方が変わるため、色の名前を当てることより、振る前後の変化を比べることが大切です。
まとめ|まず振って、戻る途中まで観察しよう
水と油は、振ると細かな液滴になって一時的に混ざったように見えます。しかし、分子の性質が異なるため安定して溶け合わず、時間がたつと再び別々の層へ戻ります。今回のベビーオイルは水より密度が小さいため、最後は上が赤い油、下が青い水になりました。
この実験の見どころは、振った瞬間だけではありません。下から青い層が戻り、境目が少しずつ変わる過程まで観察してみてください。
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さらに試す場合は、洗剤を少量加えた場合と加えない場合を比べると、「乳化剤があると分離の仕方はどう変わるか」という次の実験につながります。条件を変えるときも容器のふたを確認し、大人がそばで見守ってください。